「グラフィックカード」と「グラフィックボード」、どちらの呼び方が正しいの?と疑問に思ったことはありませんか?
パソコンのパーツを選ぶときや、ゲーム・動画編集に必要なスペックを調べる際に、この2つの言葉を見かけることが多いですよね。
実は、どちらも同じものを指しており、違いはほとんどありません。では、なぜ2つの呼び名が存在するのでしょうか?
本記事では、それぞれの違いをわかりやすく解説し、用途に応じた選び方のポイントもご紹介します。
グラフィックカードとグラフィックボードとは?

グラフィックカードとは?
グラフィックカード(Graphics Card)は、PCの画像処理を担当する拡張カードです。GPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)、VRAM(ビデオメモリ)、冷却装置などが組み込まれ、PCI Expressスロットに接続して使用します。
高性能なグラフィックカードを搭載することで、3Dゲームや動画編集などの処理速度が向上します。
グラフィックボードとは?
グラフィックボード(Graphics Board)は、グラフィックカードとほぼ同義ですが、厳密には「基板(ボード)部分」に焦点を当てた呼び方です。
GPUやVRAM、冷却装置などを搭載した基板全体を指し、「グラフィックカード」と同じ意味で使われることが一般的です。
グラフィックカードとグラフィックボードの違い

言葉の違い
- グラフィックカード → 拡張カードとしての製品全体
- グラフィックボード → 「ボード(基板)」を中心にした表現
一般的な呼び方の違いと使われ方
一般的なPCユーザーや自作PC愛好者の間では、「グラフィックボード(グラボ)」という言葉が圧倒的によく使われます。
特に ゲーム用途やクリエイター向けPCの分野では「グラボ」という略称が定着 しているため、「グラフィックカード」という表現はややフォーマルな印象を与えます。
海外と日本での呼び方の違い
海外では、「Graphics Card(グラフィックカード)」という表記が一般的で、「Graphics Board」という表現はほとんど使われません。
そのため、英語の情報を調べる際には 「Graphics Card」や「GPU」 という単語を使うとよいでしょう。
一方、日本では「グラフィックボード」または略して「グラボ」という呼び方が広く普及しています。特にPCパーツショップやメーカーの製品ページでは「グラフィックボード」と表記されることが多いです。
また、海外では 「GPU」=「グラフィックカード」 という意味で使われることも多いため、厳密な使い分けがされていないこともあります。
例えば、「Which GPU should I buy?(どのGPUを買うべき?)」という質問は、「どのグラフィックカードを買うべき?」という意味で使われます。
実際の使われ方
一般的に、メーカーや販売店では「グラフィックカード」という表現が多く使われています。一方で、自作PCユーザーやエンジニアの間では「グラフィックボード」と呼ばれることもあります。
どちらの言葉を使っても問題ありませんが、特にメーカーの商品ページなどでは「グラフィックカード」が主流です。
「グラフィックボード」とは、 映像処理を担当する拡張ボード全体 を指す言葉。これは、GPUやVRAM、冷却ファン、基盤(PCB)、電源供給ユニットなどを含む構成要素すべてを指します。
一般的に、「グラフィックカード」と「グラフィックボード」は同じ意味で使われますが、「ボード」という言葉が入っていることで、 製品全体の構造を強調するニュアンス があります。
例えば、PCショップやメーカーの公式ページでは「グラフィックボード」という表記が多く見られます。
また、 ノートPCや一体型PCに内蔵されているGPUは「グラフィックボード」とは呼ばれない のも特徴。独立して交換・増設できるものに対して使われることが多い言葉です。

自作PC市場でよく使われる用語
自作PCの世界では、「グラフィックボード(グラボ)」という言葉が圧倒的に使われています。
特に、 ゲーム用PCやクリエイター向けPCを組む際には、グラボの選定が重要なポイント となるため、多くのPCパーツショップやフォーラムでは「グラボ」という略称が一般的です。
また、 「GPU」という単語もよく使われる ものの、これは主に技術的な文脈やスペック比較の場面で登場します。
例えば、 「RTX 4070搭載のグラボを探している」 という言い方が自然であり、「RTX 4070搭載のグラフィックカード」という表現はやや硬い印象になります。
自作PC市場では、以下のような用語もよく使われます。
- シングルファン・デュアルファン・トリプルファン:冷却ファンの数を表す
- リファレンスモデル・カスタムモデル:メーカー純正か、サードパーティ製かの違い
- VRAM(ビデオメモリ):GPUが持つ専用メモリ容量
このように、 「グラボ」という言葉は実用的な自作PC市場での共通言語 となっています
メーカーごとの呼び方の違い(NVIDIA・AMDなど)
グラフィックボードを製造している主なメーカーには、 NVIDIA と AMD があります。それぞれのメーカーが提供するGPUには、以下のような違いがあります。
- NVIDIA:GeForceシリーズ(例:GeForce RTX 4090、RTX 4060)
- AMD:Radeonシリーズ(例:Radeon RX 7900 XTX、RX 7600)
さらに、各メーカーのGPUを搭載したグラフィックボードは、 ASUS、MSI、Gigabyte、ZOTAC、SAPPHIREなどのボードパートナーメーカー によって販売されます。
これらのメーカーは、独自の冷却システムやオーバークロック仕様を加えて、 「カスタムモデル」 として販売することが一般的です。
また、 NVIDIAは公式には「Graphics Card」 という表現を使いますが、日本市場向けでは「グラフィックボード」と表記されることが多いです。一方、AMDも公式サイトでは「Graphics Card」を使っており、日本では「Radeonグラボ」と呼ばれることが一般的です。
一般ユーザー向けの用語としての使い分け
一般のPCユーザー向けには、「グラフィックボード(グラボ)」という表現が最も一般的です。特に ゲーミングPCを選ぶ際や、動画編集用のPCを購入する際には「グラボの性能」が重要なポイント になるため、この言葉がよく使われます。
一方で、 パソコンに詳しくない人は「グラフィックカード」と聞くとピンとこない場合がある ため、「グラボ」という略称がよく使われるようになっています。
また、 「GPU」という表現も技術的な説明の際には使われますが、一般的な会話ではあまり登場しません。
例えば、以下のような使い方が一般的です。
- 「このゲームにはどのグラボが必要?」 → ゲーマー向けの会話
- 「動画編集用におすすめのグラボは?」 → クリエイター向けの会話
- 「このPCにはGPUが内蔵されています」 → 技術的な説明
このように、 日常的には「グラボ」、技術的な説明には「GPU」や「グラフィックカード」 という使い分けがされています。
用途別!グラフィックカードの選び方

ゲーム用グラフィックカードの重要性と選び方
ゲーム用グラフィックカードの重要性
ゲームを快適にプレイするためには、 高性能なグラフィックボード(グラボ)が欠かせません。
特に最新の3Dゲームでは、高解像度・高フレームレートでの描画が求められるため、 GPUの性能がゲーム体験を左右する 重要な要素となっています。
例えば、「レイトレーシング」 という技術は、リアルな光の反射や影の表現を可能にしますが、これを有効にするとGPUにかかる負荷が大きくなります。
そのため、 GeForce RTXシリーズやRadeon RXシリーズのハイエンドモデル など、高性能なグラボが必要になります。

また、ゲームによって推奨されるグラボのスペックは異なります。
例えば、FPS(ファーストパーソン・シューティング)系のゲームでは144Hz以上の高リフレッシュレート対応モニターと組み合わせるため、高フレームレートを出せるグラボが求められます。
ゲーム用グラフィックカードの選び方
ゲーミング用途では、NVIDIAのGeForceシリーズやAMDのRadeonシリーズが主流です。特に、以下のポイントを重視して選びましょう。
- GPU性能(CUDAコア数、VRAM容量)
- レイトレーシング対応の有無
- リフレッシュレート(FPS)の最大値

逆に、軽いインディーゲームや2Dゲームでは、そこまで高性能なグラボは必要ありません。
クリエイター向けグラフィックカードの重要性と選び方
クリエイティブ用途(動画編集・3DCG)での影響
グラフィックボードは、動画編集や3DCG制作、画像処理の分野でも大きな影響を与えます。
特に、Adobe Premiere ProやDaVinci Resolveといった動画編集ソフトでは、GPUを活用したレンダリング(ハードウェアエンコード)を行うことで、エンコード時間を大幅に短縮できます。
また、3DCGソフト(Blender、Maya、Cinema 4Dなど)では、GPUの演算能力が直接レンダリング速度に影響を与えます。
たとえば、NVIDIAの「CUDAコア」や「RTXシリーズのレイトレーシング機能」 を活用すると、リアルタイムレンダリングのスピードが向上し、作業効率が大幅にアップします。
クリエイティブ用途(動画編集・3DCG)での選び方
AIを活用した画像処理技術(NVIDIAのDLSSやStable Diffusionによる画像生成など)にもGPUは不可欠です。クリエイティブな作業を効率的にこなしたい場合、高性能なグラボを選ぶことが重要です。
動画編集や3DCG制作には、NVIDIA QuadroやAMD Radeon Proなどのワークステーション向けモデルが適しています。特に以下の点を考慮しましょう。
- VRAM容量(8GB以上推奨)
- CUDAコア数・メモリ帯域幅の広さ
- ハードウェアエンコード・デコード機能の有無
用語の違いを理解して賢く選ぶ
「グラフィックカード」と「グラフィックボード」は基本的に同じものを指しますが、 「グラフィックボード」のほうが日本では一般的な呼び方 となっています。
また、技術的な文脈では「GPU(グラフィックプロセッサ)」という言葉も頻繁に使われます。
用語の違いを整理すると…
用語 | 意味 | 使われる場面 |
---|---|---|
グラフィックカード | PCに搭載する映像処理用の拡張カード | 英語圏・技術的な文脈で使用されることが多い |
グラフィックボード(グラボ) | グラフィックカードと同じ意味(日本では一般的な表現) | 自作PC市場・ゲーミングPC選びなど |
GPU | グラフィックカード内に搭載されている映像処理用のチップ | 技術的な話題・スペック比較 |
この違いを理解しておくと、 PCパーツを選ぶ際や、海外の情報を調べる際に迷わずに済みます。
グラフィックボードを選ぶ際の注意点

グラフィックボードを選ぶ際には、以下のポイントに注意する必要があります。
用途に合った性能を選ぶ
ゲーム用途 → GeForce RTX 4060以上 / Radeon RX 7600以上
動画編集・3DCG → VRAM 8GB以上推奨
AIやディープラーニング → NVIDIAのRTX 30/40シリーズが最適
VRAM(ビデオメモリ)の容量
フルHDゲームなら 6GB〜8GB で十分
4K解像度や3DCG制作なら 12GB以上 を推奨
冷却性能とサイズの確認
ハイエンドグラボはサイズが大きいので PCケースのサイズを確認
エアフロー(通気性)を考えたPC構成にする
消費電力と電源ユニットの確認
RTX 4090などのハイエンドモデルは 850W以上の電源が必要
省電力なモデル(RTX 4060など)なら 600W程度でもOK
冷却性能と静音性
長時間の高負荷作業では、冷却性能が重要になります。ファンの数やヒートシンクの大きさ、静音性なども考慮しましょう。
このように、自分の用途に合ったスペックを考慮しながら、適切なグラフィックボードを選ぶことが大切です!
まとめ
「グラフィックカード」と「グラフィックボード」の違いを整理すると、以下のようになります。
- 基本的には同じものを指すが、日本では「グラフィックボード(グラボ)」が一般的
- 海外では「Graphics Card」が主流で、「Graphics Board」はほぼ使われない
- GPUはグラフィックボードの中に搭載される映像処理用のチップ
- ゲーム用途ではFPS向けや4K対応など、用途に応じたグラボ選びが重要
- クリエイティブ用途ではVRAM容量やCUDAコアの有無が選択のポイント
- 電源や冷却性能も考慮し、自分のPC環境に合ったモデルを選ぶことが大切
「グラフィックカード」と「グラフィックボード」は厳密には異なる意味を持つ場合もありますが、 実際のPC市場ではほぼ同じ意味で使われている ため、どちらの表現でも問題ありません。
選ぶ際には、用途に応じたスペックを重視し、適切なモデルを選びましょう。
あなたにピッタリのグラボを選んで、快適なPCライフを楽しんでくださいね!